ここ数年でよく耳にするようになったコンテンツマーケティング。読者に価値のある情報を提供して見込み客を獲得、定期的に購買してくれる固定客に育て、ファンとして定着させるマーケティング手法です。コンテンツマーケティングが台頭した背景には、「消費者の情報取得環境の向上」と「広告の効果が以前のように高くはなくなった」ことにあります。

以前は購入前に製品の情報を取得する方法は限られていました。チラシやウェブサイトの情報、店頭でのおすすめ、雑誌、知人からの評判など、実際に使用した人の意見を聞ける機会は少なかったのです。

しかしソーシャルメディアの普及もあり、今では様々な情報が簡単に手に入るようになりました。その中には取り扱いに注意が必要な情報もありますが、製品やサービス体験者のリアルな感想は未体験者にとってとても有効な情報です。消費者は製品購入前に感想をインターネット上で検索する傾向にあるため、インターネットで得られる口コミの情報は消費者の購入決定に大きく影響します。

コンテンツマーケティング

広告の効果が以前のように高くなくなったことも、コンテンツマーケティングを含む他のマーケティング手法が台頭した理由にあげられます。引用元のTapfluenceでは、「Influencer Marketing – The Best Banner Ad Alternative(インフルエンサーマーケティングがバナー広告の1番の代替案)」と題された記事で特にバナー広告の効果低下が指摘されました。

この記事によるとバナー広告が普及し始めた1994年、バナー広告のクリック率は44%という驚異的な数字を出していました。それから20年以上が経った現在のバナー広告クリック率は0.1%。1000人に1人しかクリックしていないうえに、クリックした半分はモバイルユーザーで間違えて広告をクリックしてしまっているとのことです。
出典 : Tapfluence:https://www.tapinfluence.com/blog-influencer-marketing-best-banner-ad-alternative/

バナー広告といった情報が限られているものよりも、有益な情報が得られるコンテンツに消費者の目は向いています。多くの企業がブログやインフルエンサーを活用してコンテンツマーケティング取り組んでいますが、発信するコンテンツはセールス感を抑えた方が良いというポイントをご存知でしょうか。

コンテンツマーケティングがセールス感を抑えた方が良い理由

セール感抑える理由
消費者は生活が豊かになる有益な情報を求めてインターネットでコンテンツを検索しています。キーワード検索でたどり着いた記事が、製品の活用方法の説明もそこそこに購入を促すだけだと消費者に押し売りのような印象を与えてしまいます。販売する製品と関連する情報を発信して、消費者から信頼されるコンテンツを作ることで会社自体の信頼感がアップするのです。

さらに有益な情報を発信し続ければ検索エンジンに評価されて検索結果のトップに表示されます。セールス感を抑えて記事内に役立つ情報を多く入れることで、サイト訪問者が増加して売上増加につながる可能性があるのです。

コンテンツマーケティングを活用することで、ここから製品を買いたいと思われる会社に育てましょう。

セールス感の少ないコンテンツとは?

セール感少ない
セールス感の少ないコンテンツとは、逆に言えば他の情報が多いコンテンツということ。その製品のアピールポイントだけを記すのではなく、その製品を使って何ができるか、どういった生活が送れるかを伝えます。

例えばチョコレートを販売している企業がブログ記事で新しい顧客の獲得に乗り出すなら、記事の内容はチョコレートの味や価格を紹介するものばかりではなく、チョコレートを使ったレシピを配信しましょう。バレンタインが近くなれば検索増加も考えられますし、チョコレートのお菓子作りを考えている消費者が検索してサイトに訪れる可能性があります。

コンテンツのアクセス数が多くなれば、そのコンテンツを配信している企業の製品に注目が集まります。チョコレートのレシピの最後にプロモーションしたいチョコレートの製品情報を乗せて、情報と宣伝のバランスをとることが大切です。

さらにインフルエンサーと組み合わせたコンテンツマーケティングもよく見かけます。この場合もアピールしたい製品のお役立ち情報を宣伝と情報のバランスをとって配信してもらうのが良いでしょう。

例えばコスメブランドが新発売のファンデーションのプロモーションをビューティインフルエンサーに依頼したとします。このときにファンデーションの値段などを伝えるのではなく、製品を実際に使ったメイク法や使い心地を伝えたほうが質の高いコンテンツに仕上がります。YouTubeやブログで製品を使っている様子を伝えたほうが、製品の魅力が伝わり消費者の購入意欲に影響を与えるのです。

宣伝と情報のバランスを考えてコンテンツを作成しましょう。

コンテンツマーケティング海外事例8選

セールス感の少ないコンテンツや宣伝と情報のバランスは、実際に例をみてみないとイメージし辛いかと思います。コンテンツマーケティングの研究をするContent Marketing Instituteで掲載された事例を、ポイントか解説しつつ紹介するので参考にしてください。

1.The Chromologist

事例1
出典 : The Chromologist:http://thechromologist.com/
Farrow&Ballは英国生まれのペイントブランド。こだわり抜いて作ったペンキと壁紙を販売しています。同社は「色」に特化した情報を伝えるため、Farrow&Ballとは別に「The Chromologist」というサイトの運営を始めました。

このサイトでは同社の販売する製品の情報ではなく、豊富な色の知識を発信。「小さいスペースのペンキ選び」というテーマのページでは、どの色のペンキで壁を塗れば小さい部屋でも圧迫感がないかという情報が発信されました。

このように実際にペンキを購入する消費者はどうしてペンキが欲しいのか、何に役立てたいのかを的確に理解して役立つ情報を発信しています。こういった記事は購入意欲の高い消費者を引きよせて売上増加に貢献するのです。
出典 : Content Marketing Institute:http://contentmarketinginstitute.com/2016/07/examples-brands-content/

2.Cabot Creamery

事例2
出典 : Cabot Creamery:https://www.cabotcheese.coop/our-farm-families
乳製品を販売するCabot Creameryは同社のブログで、契約している牧場の紹介をしています。日本でも販売している野菜を作った農場のお父さんやお母さんを写真付きで紹介することがありますよね。自分が口にするものを誰が作っているか知ることは、アメリカでも安心につながるのかもしれません。

実際にContent Marketing Instituteでは「企業の裏にどういった人物がいるのか知ることは大切だ」と紹介されていました。
出典 : Content Marketing Institute:http://contentmarketinginstitute.com/2016/07/examples-brands-content/

3.inVision

事例3
出典 : Cabot Creamery:http://blog.invisionapp.com/
アプリやホームページのデザインレビューを複数人で共有するサービス「inVision」も、ブログでデザインに関する有益な情報を発信している企業の1つ。初心者向けデザインブログのアドバイスやUXデザインに投資する理由など、同社が提供しているサービス利用者が関心の高そうな内容をブログで配信しています。

同社が提供するアプリはチームを組んで取り組むことを想定されているため、デザインに関する情報に加えてチームでの取り組みを指南するコンテンツも配信。女性がテクノロジー業界で働くことをテーマに執筆されたシリーズ記事もあり、業界の中でさらにターゲット層を絞った記事も配信します。

ときには特定のエリアでさらに条件を絞ったターゲット層に配信することで、内容の濃いコンテンツを作ることもオーディエンスに関心をもってもらうポイントです。
出典 : Content Marketing Institute:http://contentmarketinginstitute.com/2016/07/examples-brands-content/

4.Holiday World & Splashin’ Safari

事例4
出典 : HoliBlog:http://www.holidayworld.com/holiblog/
次に紹介するのはHoliday World & Splashin’ Safari。インディアナ州サンタクロースにあるテーマパークです。文字や写真だけでテーマパークのわくわく感を伝えるには不十分です。同社はブログやビデオ、ソーシャルメディアを通してテーマパークの情報を発信しています。

YouTubeでは写真だけで伝えきれなかったアトラクションの魅力を紹介。様々な角度からアトラクションを体験している人の表情を写してテーマパークの楽しさをアピールします。ブログではテーマパークのイベント情報を紹介。テーマパークやイベント、動物園、水族館、娯楽施設など現地にいないと十分な魅力を体験できない体験型のサービスは、ビデオや写真を駆使してコンテンツマーケティングで発信しましょう。
出典 : Content Marketing Institute:http://contentmarketinginstitute.com/2016/07/examples-brands-content/

5.Casper

事例5
出典 : Van Winkle:http://vanwinkles.com/
Casperはマットレスや枕など寝具を販売する企業。睡眠に関する情報配信サイト「Van Winkle」というサイトを運営しています。コンテンツマーケティングでは、ターゲット層へ的確にアプローチするためジャンルを決めて情報を配信することが重要。しかしVan Winkleは料理やファッションといったジャンルではなく、「睡眠」に限定したテーマを配信しています。

1つのテーマに焦点を当てることでターゲット層を狭い範囲に限定しますが、豊富な情報を多数配信することになるので狭いエリアで存在感を増加することが可能。未開拓エリアであれば先駆者として長く存在感をアピールできる可能性があります。特に長年企業が取り組んできた分野と合致するようであれば、良質な情報を配信できるとともに消費者の信頼を獲得できます。

製品にぴったり合うなら、1つのテーマに絞った強気なコンテンツ配信も情報の多いインターネットで目立つポイントです。
出典 : Content Marketing Institute:http://contentmarketinginstitute.com/2016/07/examples-brands-content/

6.Whole Foods Market

事例6
出典 : Whole Foods Market:http://www.wholefoodsmarket.com/blog/whole-story
食料雑貨店のWhole Foods Marketは、消費者の健康的な食生活を支えるためにレシピや食に関する知識を配信。コンテンツに使われる食材はカリフラワーやサーモンといったWhole Foods Marketで購入できるものがそろっています。

差別化が難しい商品を販売している場合はコンテンツマーケティングで消費者の信頼を得る方法がおすすめです。有益な情報を定期的に配信することで消費者の生活へ自然に入り込めます。存在感を高めて選ばれる企業になりましょう。

またワインの記事作成に有名なソムリエを招くなど、コンテンツの質も手を抜いていないところもポイント。信頼の高いコンテンツを配信するために、スペシャルなコンテンツではインフルエンサーとして活躍する各分野の著名人を起用するのもおすすめです。
出典 : Content Marketing Institute:http://contentmarketinginstitute.com/2016/07/content-marketing-best-brands/

7.American Express

事例7
出典 : Open Forum:https://www.americanexpress.com/us/small-business/openforum/explore/
インフルエンサーを活用したコンテンツマーケティングと言えば、 American ExpressもOpen Forumで取り入れています。同社が運営するOpen Forumは、インフルエンサーがビジネスに関する情報をシェア。専門家から有益な情報を受け取れるプラットフォームとして認知されています。

ブログの記事を作成するにあたって良質な情報を配信することが重要ですが、企業が専門家になる必要はありません。専門家が情報を発信できるプラットフォームを作りましょう。

American ExpressはOpen Forumを2007年に開設して、今ではユニークアクセス数が月に100万と大きな反響を得ています。
出典 : Content Marketing Institute:http://contentmarketinginstitute.com/2017/02/lessons-content-marketing-brands/

8.ゼネラル・エレクトリック

事例8
出典 : GE Reports:http://www.gereports.com/
ゼネラル・エレクトリックは多国籍コングロマリット企業。同社が運営するGE Reportsでは、ロボットやエネルギーに加えてAIやIOT、VRなど最新テクノロジーに関する情報を配信しています。配信している情報は幅広いものの、ゼネラル・エレクトリックと関連の提供するサービスや製品と関連のある情報です。

ゼネラル・エレクトリックは医療機器や産業用ソフトウェア、エネルギーに金融と幅広い分野で事業を展開しています。幅広い業界のコンテンツを配信する場合は、テーマによってオウンドメディアを分けるか、複数のテーマをひとつのオウンドメディアで配信するか決定しましょう。安定して有益な情報を配信・管理できるようなら、1つの場所にアクセスを集中させる方がおすすめです。
出典 : Content Marketing Institute:http://contentmarketinginstitute.com/2017/02/lessons-content-marketing-brands/

まとめ

まとめ
今回紹介したコンテンツマーケティングのポイントは、「セールス感を抑える」ことと「宣伝と情報のバランス調整を意識する」ことです。紹介した事例でも、販売する製品に関係する情報を発信しているものの直接製品を売り出している事例は少なかったのではないでしょうか。

製品の名前は出なくても、コンテンツは製品を使用するターゲット層を意識した内容になっていたかと思います。例えば食料雑貨店のWhole Foods Marketは主婦層を意識して、スーパーで購入できる食品をつかったレシピが紹介されていました。ターゲット層を引き付けて企業や製品を知ってもらうことがコンテンツマーケティング成功の秘訣なのです。

通常ブログで配信するようなコンテンツは、消費者の役に立つ情報を得られることが求められます。そういった情報を求めているのが、実は購入意欲の高い潜在的な顧客です。消費者の求めるコンテンツを供給して、製品を使って行動を起こすことをイメージしてもらいましょう。

有益な情報を発信することが売上増加の近道なのです。

その他の関連記事

ページ上部へ戻る