一昔前は携帯で画像を読み込もうとするとかなりの時間を必要としたため、文章で消費者を引きつけることが主流でした。

そもそもインターネットでキャンペーンを行う際に想定しているターゲット層はPCユーザーで、携帯利用者に向けたキャンペーン自体少なかったのではないでしょうか。

今やスマートホンの普及でたいていの画像や動画なら猛スピードで読み込み瞬時に表示されてしまいます。スマホユーザーは十分キャンペーンの対象内、むしろキャンペーンターゲット層のメインとして位置づけられているほどです。

スマホの普及で訴求力の高い画像や動画といったビジュアルコンテンツの重要性が大幅に高まりました。文字だけの説明よりもイメージしやすいビジュアルコンテンツは製品やサービスの魅力をより詳しく伝えてくれるため、消費者が問い合わせや購入といった次の行動に移しやすいという傾向にあります。

ソーシャルメディアなどで手軽に見れるキャンペーン用のビジュアルコンテンツは、ソーシャルメディアマーケティングの主軸になっているのです。

スマホ見る

画像や動画をとおして製品を体験してもらいたいと多くのマーケターが取り組んでいる中、注目を集めているのが没入感の高い360度動画の存在。2016年はVRヘッドセットなど周辺機器が充実してVR元年と呼ばれました。

YouTubeやFacebookが360度動画をアップロードできる環境を導入するなど、マーケティング業界においてもVRは大きな影響を与えています。

マーケティングにVRを取り入れることが注目されている理由はその没入感の高さ。実際にその場にいて製品やサービスに触れているような感覚を体験できるので、よりリアルな使用感をアピールできます。

イベント会場では実際にVRを使った体験型のアプリケーションも導入されていますが、ソーシャルメディアマーケティングで使いやすいのは360度動画です。特にスマホで体験できるモバイルVRが増えてきたため、より安価で手軽に体験できるようになったこともポイント。

Facebook360度動画はヘッドセットがなくてもマウスのドラッグで360度の景色を楽しめるなど、どんどん身近な存在になっています。

企業はどのような方法でVRを活用しているのでしょうか。今回はFacebook360度動画を活用した事例を紹介します。

【事例1】ロイヤル・ナショナル・シアター舞台裏を紹介

ロイヤルナショナルシアター
動画を使ったマーケティングでは、製品開発の裏側やイベント準備中の裏話など舞台裏の紹介がよく行われます。DVDの特典にもよくついているように、ここでしか見れないプレミアム感は消費者にとって魅力的。製品の開発裏話や製作の様子など普段は聞くことのできない話を取り入れて、製品やサービスに対する熱意や努力を裏付けることも重要です。

舞台裏の紹介に関していうと、会社見学ツアーを行って消費者が通常みることはできない企業の一部施設を見せるのも効果的。舞台裏を見せることは企業と消費者のギャップを埋めることができます。親近感を持ってもらう方法の1つとして活用しましょう。

さらに360度動画は正面だけでなく全方面を映し出すため、場所の紹介をする動画で多く活用できます。視聴者は景色を全て見ることができ、まさにその場にいるような空気を味わえるのです。

事例1
出典 : National Theatre London(Facebook):https://www.facebook.com/national.theatre.london/videos/10154959233499973/?hc_ref=PAGES_TIMELINE

イギリス・ロンドンの「ロイヤル・ナショナル・シアター」は、ピーターパンの練習風景を360度動画で投稿。俳優がワイヤーアクションの練習をしている様子と、その場面で使用されるバンドの演奏風景が紹介されました。

360度見渡せる環境でワイヤーアクションの様子を見るのは臨場感たっぷりで実際に公演が行われる日を楽しみにする気持ちが高まります。アクションシーンといった動きが激しい場面を360度動画で撮影すると通常の動画とは異なる臨場感を楽しめます。

360度動画はアクションシーンの伴う劇の公演や、激しい動きのアトラクションがあるテーマパークのプロモーションと相性がよさそうです。前もって動画で体験することで、その場で経験できるワクワク感を引き出すことができます。

【事例2】Coachはファッションショーのランウェイを配信

ファッションショーランウェイ
360度動画は特定の場所に行けない人へ、その場にいるかのような臨場感を提供できます。世界で開催される大規模イベントや日本各地で開催されるご当地イベントなど、会場に来られなかった視聴者とその場の空気感を共有するのに大活躍。

画面の前の消費者と、会場で直接会う消費者の両方と交流を計れます。イベントで自社スペースのアピールを行いたいときに360度動画を活用しましょう。

Facebookでは360度のライブ配信を可能にする「Facebook Live 360」の導入を発表しています。いままで以上に各プラットフォームが動画やVR、ライブ配信を使った機能を強化しそうです。

最近ではライブ配信でインフルエンサーを起用してイベントを中継するキャンペーンが増加してきました。今後、360度ライブ配信を使ってイベントのリポートをする企業が増えるのではないでしょうか。

事例2
出典 : Coach(Facebook):https://www.facebook.com/coach/videos/10154537999961693/?hc_ref=PAGES_TIMELINE

高級ブランドのCoachは、同社がファッションウィークで行った2017年秋の新作を発表するショーを360度動画で投稿。ランウェイの組み立てからモデルのメイクアップなど、ショーができあがるまでの準備段階も撮影しました。

ファッションショーの部分でカメラはランウェイの目の前を映し、モデルがウォーキングする様子をまじかで堪能できます。貴重な体験を視聴者と共有しました。

ファッション界に精通している人でない限り、ファッションウィークのランウェイをまじかで見られる機会は中々ありません。視聴者は動画を通して通常できないことを経験できました。Coachはこの動画で同社の新作の紹介とファンとの絆強化に成功したのです。

【事例3】ブレア・ウィッチはブルーレイの販売促進に360度動画を活用

全ての映像コンテンツを360度動画で作成しようと考えると少し負担に感じるかもしれません。そんなときは宣伝の一部を360度動画で作成してみてはいかがでしょうか。

映画や演劇の宣伝、映像コンテンツの販売をするときは、内容の特徴となる部分をテーマにした360度コンテンツを作成。短いプロモーション用の動画を作って宣伝に活用しましょう。

事例3−1
出典 : Blair Witch(Facebook):https://www.facebook.com/blairwitchmovie/videos/1783988248521630/?hc_ref=PAGES_TIMELINE

「ブレア・ウィッチ」はドキュメンタリー風ホラーとして人気を博したブレア・ウィッチ・プロジェクトの続編。公式のFacebookページは、ブルーレイとデジタル版の販売を記念して360度動画が投稿しました。

動画はブレア・ウィッチで登場した魔女の家をテーマに不気味な恐怖を描きます。ボーっとしている間に何かに襲われるのではないか、どこかに何かがいるのでないかという映画の恐怖感を見事に再現。動画の締めくくりは恐怖感のどきどきの中でブルーレイとデジタルエディション販売のお知らせが。思わず映画を見たくなる構成でした。
事例3-2
出典 : Baobab Studios(Facebook):https://www.facebook.com/baobabstudios/videos/1848090538794692/?hc_ref=PAGES_TIMELINE

また全編VRの作品ですが、前作を次回作の宣伝で活用した事例があります。「INVASION!」はBaobab Studiosが公開したVRアニメ。侵入者であるエイリアンがうさぎと出会うドタバタコメディです。

Baobab Studiosは最新作「ASTEROIDS!」のリリースに合わせてINVASION!のフルエピソードをFacebookとYouTubeに投稿。次回作はINVASION!に登場したエイリアンを主人公にしたエピソードが公開されるため、INVASION!を気に入った人がダウンロードしてくれることが予測できます。今回の取り組みは次回作のダウンロード促進とVRアニメの認知度向上に一役買いました。

【事例4】スターウォーズは360度で撮影風景を公開

製品やサービスの発売前だけではなく、発売中も売上増加のためにキャンペーンを続けるかと思います。売り出されている製品やサービスにもっと興味を持ってもらえるように、360度動画を活用しましょう。

360度動画は新しいコンテンツのため、消費者の関心を引きやすいという特徴があります。まずはどういったものを提供しているのか知ってもらうために、360度コンテンツを製品と企業の認知度向上に役立てましょう。

事例4
出典 : Baobab Studios(Facebook):https://www.facebook.com/StarWars/videos/692807814233944/?hc_ref=PAGES_TIMELINE

スターウォーズの公式ページは、「ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー」公開中に撮影風景を映した360度動画をアップロードしました。実際に映画を撮影している様子に加えて、映画に関する小話を披露。視点を回転させると撮影の様子を見守るスタッフの姿を確認できます。

動画が進むと戦闘シーンを撮影するためにキャストとスタッフは慌ただしく動き、まるで撮影現場にいるかのような感覚に。実際に映画を見て動画内で見たシーンやセットを確認したいと視聴者に思わせました。

【事例5】360度動画を活用して絶景を撮影

絶景
360度動画と一番相性が良いのはなんといっても景色です。美しい景色を堪能できるのは360度動画ならでは。地域の観光アピール動画や景色を撮影する製品のプロモーションにFacebook360度動画を活用しましょう。

Facebookは幅広い年代が使用するプラットフォーム。旅行促進用のコンテンツや生活に役立つ豆知識、ビジネスに関するモノもプライベートで必要な知識も様々な情報が配信されています。ビジネスに関する情報を取得するなら違和感のないプラットフォームなので、景色の動画を活用してプロモーションするのにおすすめです。

またFacebookはパノラマ写真が楽しめる「360 Photos」を導入しています。動画よりも手軽に360度コンテンツを始めてみたいという場合は360度写真に挑戦してはいかがでしょうか。

事例5-1
出典 : National Geographic(Facebook):https://www.facebook.com/natgeo/videos/10154144568003951/?hc_ref=PAGES_TIMELINE

世界のニュースや写真を届ける「ナショナルジオグラフィック」は、世界の生物や景色の写真や動画をソーシャルメディアに多く投稿しています。アップされる動画はすべてストーリテリングで、360度動画になったことで動画の没入感が増加。動画からナショナルジオグラフィックの活動に興味を持ち、雑誌購読やサイト訪問をするユーザーが多くいることが予測できます。

ナショナルジオグラフィックは360度動画だけではなく、写真や動画、ライブ配信といったコンテンツをコンスタントに様々なプラットフォームに投稿しています。活動を常に続けてファンを増やし、異なるコンテンツに挑戦することで新たなファンを獲得しているのです。
事例5-2
出典 : GoPro(Facebook):https://www.facebook.com/gopro/videos/10154307962011919/?hc_ref=PAGES_TIMELINE

ウェアラブルカメラを販売する「GoPro」は、美しいシンクホールを潜り海面を泳ぐ360度動画を投稿。撮影者はGoProのカメラで撮影しながら海底旅行を楽しんでいます。視聴者は動画を通して普通の人なら行く機会のない絶景を見れる場所に行くことができました。

美しい景色を通してそれを撮影した製品のプロモーションにも成功。どういったカメラを使って撮影しているのか視聴者の関心を引きました。

事例5-3
出典 : Getty Images(Facebook):https://www.facebook.com/gettyimages/photos/a.10150265450726297.325134.59323386296/10154161584251297/?type=3&hc_ref=PAGES_TIMELINE

最後に360度写真の紹介をします。写真画像代理店の「ゲッティイメージズ」はFacebookページに北極で撮影された360度写真を投稿しました。北極の写真を通して提供する写真の幅の広さが想像できます。

このように360度写真も通常より没入感の高い画像で多くの人の関心を引けます。VRコンテンツに挑戦したいけど少し悩んでいるというマーケターは、まず360度写真に挑戦してみてはいかがでしょうか。

まとめ

まとめ
敷居が高いと思われていた360度動画はFacebookやYouTubeでアップロードできるようになり、多くの企業がマーケティングに取り入れるようになりました。

とくに消費者の関心を集めるソーシャルメディアで活発にアップロードされています。ビジュアルコンテンツの重要性が増したことで、360度動画は他社のキャンペーンと差別化する重要コンテンツになりそうです。

360度動画が投稿できるプラットフォームの充実で、360度コンテンツの撮影器具も手に届く製品が多くなりました。以前は大きく高価な製品ばかりでしたが、今や手のひらサイズの安価なもの、iPhoneに取り付けて使うものまで発売されています。

定番で人気のある360度カメラなら「Theta S」、iPhoneに取り付けられる「INSTA360 Nano」、Full HD撮影が可能 「RICOH THETA」と用途に合わせて様々な種類が発売されているうえに、値段も2万~4万円で購入可能。360度コンテンツを作りやすい環境が整っています。

今回紹介したほかにも新発売する車の車内がどのようになっているか、ドライブして車内から見た景色はどうなっているのか360度動画で確認できるキャンペーン。実際に訪問しなくても360度動画でモデルルームの内部を確認できるキャンペーンなど、内部を確認するキャンペーンに360度動画が使われることがあります。

前後左右全方位を確認できるという利点を活かして、外側だけでは購入の判断ができない製品のプロモーションに役立っているようです。イベントのレポートや舞台裏の紹介、様々な場面で360度動画を活用してみてください。

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